つぶやきしぶちん

そんな話シリーズ

2007年02月12日 | つぶやきしぶちん


つぶやきコーナーです^^

       「たかが車、されど車・そこにドラマあり!」

1)50男の万歳姿

その方は来店すると挨拶もそこそこにお目当ての車の前へ
向った。

「バンザーイ!バンザーイ!」

年齢は50歳と聞いていた。
彼は万歳を続けている。

我々は口をポカンとあけてその様子を見ていた・・

               ・

その方は50歳、20代の頃、車が大好きでいろいろ乗り継いだそうだ。
ある輸入車をを知り合いから安く譲ってもらったのが一番のお気に入りに
なったらしい。その後、もう1台、同型車を所有するまでのマニアに
なっていた。

商売をされていた彼は、しばらくいい状態を保っていたが
どうしても車を手放さなくてはならない場面が訪れた。
泣く泣く愛車を手放した。

それから20数年。
車好きの彼は、一切、車雑誌も見なかったと言う。
まだ早いと自分に言い聞かせ、我慢に我慢を重ねていたらしい。
スタッフの給料を1万円でも、バイトの時給を100円でも上げて
あげよう。そして何時か買える日が来るまでと、店舗の名前を
愛しの車名を付けていた。
店舗が増え、ようやく軌道に乗って気が付くと50歳になっていたと。

後10年経つと60歳になってしまう。
乗れない年齢になってしまう。彼は、自分にOKを出した。
買うなら今だと。

探し始めてKIに辿り付いたと言う。

翌日帰ると言う彼をを誘い酒を飲んだ。

人間はこんなに我慢出切るものなんだと。
意志の強い男を目の前に、お互いに商売をする者どうし
涙を流しながら遅くまでいろいろなことを語りあった。

そんな話です。

2)縁

その方はオークションでこの車を捜して欲しいとメールをされてきた。
高年式の車だ。確かに玉数は少ない車種ではあったが
道外にお住まいなので、KIで買うと高くつく、地元の車屋さんに
頼んだ方がいいのでは?と返事をした。

いえ、KIさんで車が買いたいのです。宜しくお願いします。
とまたメールをもらった。

それから数ヶ月、ようやく納得の車を落札出来た。

何度かメールや電話で打ち合わせをしていると、今、乗っている
車を廃車にするのがもったいないと言う。さりとて賞味期限が切れている
その車はお金にはならないと。
国産車だった。私は一応車種や内容を聞いた。
その事をスタッフがいる時に話をした。するとどうだろう、私の
息子がそれが欲しいという。
私は詳しくないが、レアな車種だそうで冬用の足車には最適だと。
Mメカもそれはいいと勧める。

車は雹害にあいボディ全体がボコボコだそうだ。しかしワンオーナーで
大事に乗っていて走りはなんら問題が無いとの事だった。

息子が欲しがっています。陸送をこちらで手配するので
譲ってもらえますか?と聞いた。
オーナーさんは、乗ってもらえるなんて本当に嬉しいです。
買い換えるとは言え、大事にしてきた車。
北海道で生きていってくれるなら!

今日、その車が届いた。
いい車だ。大事に乗っていたのがわかる。
丁寧な説明やスペア部品。新車時からの記録簿・・・

皆で、いいなぁ!攻撃にあっている息子は嬉しそうだ。

そんな話です。

3)この車が走るなら。君が元気になれるなら。

彼は私より一世代若い。
仕事で知り合った。
時々、店に来てもらい、私の仕事を手伝ってもらっていた。
古い車に興味があるようで、特に刺さった車があった。

イケメンでカッコイイお兄ちゃんの感じ。
しかし、すでに子供は3人いて子育てに仕事にと
毎日忙しくしているのがわかった。
付き合ううちに、見た目とは違い、一生懸命前向きに
生きているのが伝わる。

ある日、こんなことを話した。
子供の一人が難病だそうだ。

私も二人の子供の父親。
病気や怪我も経験している。今も子育て中だが彼の心中は
痛いほどわかった。

奥様と子供3人を連れお店に遊びに来た。
彼は欲しい車を家族に見せたかったみたいだ。
子供達は「カッコイイ」を連発。
優しい奥様は、あなたが欲しいなら・・という感じで
ニコニコしている。

車は長い間売れなかった車。でも私も大好きな車なので
叩きうるつもりは無かった。
たまたま彼が刺さったのがその車。

私は彼に乗ってもらいたいと本当に思った。
買う算段を何度も打ち合わせ、ようやく先日、納車した。

試乗のため私の運転で市内を走る。
想像より見事な走りに隣の彼の顔は綻んでいる。

丁度昼時だった。

私にご馳走させて下さい。と彼は言った。

美味い蕎麦を二人で食べる。

店を出て彼にキーを渡した。

私は心の中で・・
時々こいつに乗って、気分転換してくれ。
そしてまた一緒に頑張ろうや!

とつぶやいた。

そんな話です。

(画像はタルガの内装、文章とは関係ありません)




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