レストア日記
ルノー8ゴルディーニ
2011年05月13日 | レストア日記
少し前に完成したゴルディーニの作業~
・ルノー8ゴルディーニ1300
この車両は今から7~8年前でしたか、まだ旧店舗の頃に
札幌にあった個体をオーナーさんを口説いて譲って頂いた
1台です。当時から変な改造を施されておらずとても印象
のいい1台でした。
今も昔もそうですが程度のいいゴルディーには売物が無い
ので自分カーで維持したかったのですが、その頃は(も)
高価なストックをのんびり維持出来るような余裕も無く
オーナーさんを募ったところ、関西方面で大事にしてくれそうな
オジサンからコンタクトがあり販売したのでした。
基本的にまずまずの程度でしたし、あの頃はMメカもまだ
KIに参加していない頃ですから、重度の整備などは当時
しておりませんでした。
数年経過し、そこそこ楽しんでおられたオーナーですが
調子はいいもののオイル漏れ(エンジンもミッションも)が
多くなり、一度、一回りやってくれィ~と頼まれていたのです。
そのうち引き受けますよ~と言いつつも2年?くらい待ってもらい^^;
ゴル男君はKIに入庫しました。
当初から、合い間をを見つつ整備するのでたっぷり時間は
下さいとお願いしていたが、実際にたっぷり時間を頂戴
してしまいました<(_ _)>(苦笑)
作業はメインのエンジン、ミッションのOHの他、ブレーキ回り
足回り、水回り、電気回りと手のつけていな部分も多少
ありますが、ほぼ一回りの作業を施しました。
基本的には内外装は大きな作業はしていませんが
前後ウィンドウゴムを初め全てのゴム類の交換に
ボディの磨き、ストライプの入れなおしなどを行いリフレッシュをした。
元々、いい感じにやれた個体でありますが、さりとて
醜い錆も無い、内装もオリジナル度も高く実にいい雰囲気の車なので
あえて外装、内装はやらない方がいいだろう~との判断もありました。
そうそうタイヤの件~
この個体は僕が以前販売する際にデルタミクスホイールを付けて
おりました。どうもバランスが取れないようで、今回はオーナーさんが
アルピーヌホイル(再生産品)を入手し、それに交換しタイヤも
新調しようとの依頼でした。
さて希望色に塗り新タイヤを取り付けたのですが、これまた
バランスが悪い^^;結構なウェイトをホイルに取り付ける事
になってしまいました。
オリジナルフェンダーのゴルディーニにビンゴのアルミホイルはなかなか
選択が無いので難しいところですね。
・
エンジンは少々想定外(この言葉は駄目っすか?)で
過去にあまりよろしくないブローをしていたようす。
ヘッドは再使用出来ない状態でした。
リプロのヘッドも検討しましたが、扱い経験が無いので心配~
たまたま知り合いが状態の良いヘッドを売ってくれたのでそれを
使用しました。
またクランクも歪みがありました。
これは加工屋さんでかなりの精度で修正出来たので助かりました。
コンロッドも使えない物があったりと、いわゆる普通の
エンジンOHに必要な部品・外注費用以外に余計な部品、また加工を
必要とし予算が少々取られました。
クランクを始め、全てのバランスを取りました。
消耗品は全交換、ピストンのみ在庫していた「S」ピストンを使用しましたが
基本的にはオリジナルで極端なチューンは施していません。
フライホイルは少し軽量化しています。
ミッションは、シンクロ、ベアリングは全交換しております。
他、足、ブレーキなど色々やってますが知りたい方は
のんびり「今日のKI」を遡って下さい(笑)
・
さて、全ての作業が完了し、とっくに切れた車検を取り
しばし、セッティング、ちょい慣らしの日々でした。
OHしたエンジンは「ブン!」とかかり数秒でアイドリングに
入ります。
そこから軽くレーシングするとナローポルシェのように
タコメーターの針が踊ります^^
OHしたミッションはまだシンクロの硬さが
残りますがカッチリしています。
とは言え、長いリンケージを持ち、シフトレバーも長い
ゴルディーニは元々、ミッションフィールがヨロシクない。
110はまだいいですが、8系はこのシフトフィールは数少ない
マイナスポイントでしょうか。
レストアはペダル類まで及んでいるのでガタの無いペダルに
OHしたブレーキはねっとり効き、とても良い雰囲気でした。
しばし3~4000回転での慣らし的運転はレスポンスのいい
エンジンなので辛い。
回りたくてしょうがないわけですから。
また、クロースしているギア比ゆえ街中でもあっと言う間に4速に入る。
トルクもしっかりあり高いギアでも粘ってくれます。
これから慣らしが終わり上の方を回せるオーナーさんは幸せ者ですね。
「オチ」
さて、実は関西に納車後トラブル発生がありました。
先方さんに送り、無事に夜到着したとメールで確認し
ほっと一安心していた管理人であります。
明日は弊社の顧客さんでもあるサンクアルピーヌターボのオーナーさん
も見に遊びに来るとの事でした。
翌日
オーナーさんの携帯からTEL。。。
「自宅からガソリン入れようとスタンドまで走ったら
GSに到着したらゴン!という音とともにギアが何処にも入らない!」と。
「えええっ!」背中に冷たい汗がつつっーと(-_-;)
お休みのMメカに電話してもらい症状を聞いてもらうと
どうやらクラッチじゃないか~との事。
走行不可能ですし、飛んですぐに行ける距離では無いので
関西圏の積載ドライバーさんに連絡し、これまた知り合いの
工場さんに急遽、無理言ってお願いし、ゴルディーニを早速
ドナドナしたのですた。。。
オーナーさんもタマゲタだろうが僕らも青天の霹靂であります。
クラッチももちろん3点新品、念のためワイヤーも交換し
こちらではサクサクと切れ全く違和感がありませんでした。
翌日、依頼した工場さんから点検してもらうと
どうやらクラッチ本体のようだ~との事
軽症では無さそうです。
早速、エンジン降ろしを頼みクラッチの状態を診て貰いました。
クラッチカバーが見事に壊れていました。
プレートステーが折れてしまっています。
Mメカの話ですと過去にもそういう事例はあったようですが
まさか今回なるとは。。。
アイタタタ、、、と思いつつも今、少しでも早くオーナーさんに
修理して再納車しなくてはなりません。
翌日、大掃除にからめ、クラッチカバーの捜索でした。
数年前ですが古くからの110乗りの方からストックしていた
パーツを沢山売って頂いた事があり、その中にカバーが
あったはずと、僕の事務所下の部品保管スペースを
ひっくり返し、ようやく見つけ出し先方の工場さんに速攻で送りました。
お願いした工場さんはKIと違い^^;サクサクと仕事を
して下さり、なんとか連休前にオーナーさんに届ける事が出来ました。
まぁ最後の最後にスッタモンダありましたが先日も200km程
走ったというオーナーさんから明るい声を聞け、ようやくこちらも
ほっと一息だったのでした。
長期入院をお待ちいただいたオーナー様
シコシコ丁寧な仕事をしてくれたスタッフ
クラッチトラブルをケアしてくれた関西のMさん
ありがとう!
(画像は写真が上手なオーナーから送ってもらった画像)